はじめに
こんにちは、みの丸です。
妊活中や妊娠中のみなさん、葉酸ってご存じですか?
私は妊活を始めるまで聞いたこともなかったんですが、これは実はおなかの赤ちゃんの健康のためにとても重要な栄養なのです。
食べ物のみから必要摂取量を摂ることが難しく、厚生労働省からもサプリなどの栄養補助食品から葉酸を摂ることが推奨されています。
でも、葉酸が赤ちゃんにとってどう重要で、足りないとどうなるのでしょうか?
この記事では、葉酸がなぜ赤ちゃんのためになるのか、いつどのくらい必要なのか、葉酸の役割について書きたいと思います。
葉酸が足りないとどうなるの?
まず葉酸とは、水溶性ビタミンの1つで、ビタミンB群の仲間です。たんぱく質や核酸(DNAやRNA)を合成する働きがあるため、赤ちゃんの細胞を新しく作り出すときにたくさんの葉酸が必要とされます。
妊娠初期は、活発な細胞分裂が行われ、胎児の脳や心臓、神経管(脳や脊髄のもとになるもの)など、体の非常に重要な部分が作られる時期です。
この時期の赤ちゃんに葉酸が不足してしまうと、神経管閉鎖障害を引き起こしてしまうことがあります。
神経管閉鎖障害とは
神経管は、妊娠6週頃にその両端が閉鎖
することで管のような形になり完成する
が、その一部がうまく閉じなかったため
におこる病気。
主な障害は「二分脊椎」と「無脳症」。
二分脊椎・・・神経管のお尻側が閉鎖しなかった場合発生する。本来なら脊椎の管の中にあるべき脊髄が、脊椎の外に出て癒着や損傷しているために起こる神経障害。
無脳症・・・神経管の頭側が閉鎖しなかった場合に発生する。大脳が欠損して全く無いか、とても小さく縮小している。死産が多く、出産しても一週間以上生存することは難しい。
神経管閉鎖障害は、葉酸不足だけでなく、遺伝などを含めた多くの要因が複合して発生します。ですが、数多くの疫学研究により、母親が十分な葉酸を接種することでその発生リスクが大幅に減少することがわかっています。
妊娠前から予防できる数少ない障害ですので、これから妊娠を考えている方や妊娠中の方はぜひ、葉酸サプリを飲んで赤ちゃんを迎える準備をしましょう!
葉酸はいつから飲むの?
葉酸の重要性はわかりましたが、ではいつから飲めばいいのでしょうか?
障害のリスク低減のためには、母親が受胎前から十分な葉酸を摂取している必要があります。さらに神経管の完成するタイミングからすると、
妊娠1か月以上前から妊娠3か月までの葉酸摂取が必要です。
つまり、妊娠がわかってから葉酸サプリを飲み初めても遅いということです。
妊活を考え始めたら、まず1か月葉酸サプリを飲んでから子作りを始めなければなりません。
ただ、妊娠するまで葉酸を飲んでいなかった!という方もいると思いますが、妊娠してからの葉酸摂取でも障害リスクの低減が認められています。
葉酸サプリの存在を知ったら、その日から飲み始めましょう!
どのくらいの葉酸が必要?
では、1日にどのくらいの葉酸を摂取しなければいけないのでしょうか?
2015年版の「日本人の食事摂取基準」では、下記のとおりです。
18歳以降における推奨量=240μg/日
+
妊娠を希望する女性の付加量=400μg/日
妊娠中の女性の付加量=240μg
これは、食事からの葉酸摂取1日あたり240μg(マイクログラム)を基準とし、妊活中ならプラス400μg、妊娠中ならプラス240μgをサプリから摂取しましょう、という意味です。
そして、この摂取量を達成するために知っておかなければならないのが、葉酸には2種類ある、ということです。
1つは天然葉酸、もう1つは合成葉酸といいます。
天然葉酸とは?
食材に含まれる葉酸のことをさし、「食事性葉酸」、「ポリグルタミン酸型葉酸」と呼ばれます。 ほうれん草やブロッコリーなど、緑黄色野菜に多く含まれています。
天然というと響きがいいのですが、問題が1つあります。この葉酸を体内で利用できるのは、摂取した量の半分だけなんです。
このタイプの葉酸は、後で述べる「モノグルタミン酸型葉酸」に分解されてから小腸に吸収されます。しかし、その過程で様々な影響を受けるため吸収効率にばらつきが大きく、さらに、葉酸とは水溶性のビタミンなので、調理過程で熱によって損失を受けやすいのです。
そのため、吸収できるのは実際の半量程度とされています。
葉酸の摂取基準の食事から摂る240μgは、体に吸収されるのが半量程度ということが考慮された値になっています。
つまり、葉酸が240μg含まれた食品を食べ、120μgを体に取り入れましょうということです。
もっとも、一般の成人なら通常の食事をしていれば、平均的に十分240μgを摂取できます。
しかし、妊娠を希望する女性はさらに400μgを摂取しなければならず、これを食事性葉酸から摂ろうとすると800μgが必要になります。
それは食事だけでは難しいので、妊活中の女性には、次に紹介する合成葉酸が重要となります。
合成葉酸とは?
「モノグルタミン酸型葉酸」と呼ばれます。健康食品などの原材料に記載されている「葉酸」は、この「モノグルタミン酸型葉酸」のことです。
吸収効率が良く、体内で利用できるのは摂取した量の85%です。
ポリグルタミン酸型(天然)は、体内でモノグルタミン酸型(合成)に分解してから小腸に吸収されますが、合成葉酸は分解する必要がないので、安定性と生体利用率が高いのです。
葉酸と神経管閉鎖障害のリスク低減との関連を示した、諸外国の大規模な疫学研究の結果は、ほとんどがこの合成葉酸=モノグルタミン酸型葉酸のサプリによるものです。
もちろん、食品中の葉酸の効果がないわけではないのですが、サプリ等の葉酸と比較すると、生体利用率が一定でなく、リスク低減に有効な量の科学的根拠も十分ではありません。
そのため、神経管閉鎖障害のリスク低減の観点からは、食事からの葉酸に加えて、サプリなどの栄養補助食品からモノグルタミン酸型葉酸を摂取するよう推奨されています。
葉酸サプリの飲みすぎに注意
食事摂取基準では、サプリ等の、通常の食品以外から摂取する葉酸の耐用上限量が決められています。(900~1000μg/日)
葉酸を大量摂取(1000μg~10000μg)すると、発熱、蕁麻疹、紅斑、かゆみ、呼吸障害などの葉酸過敏症を起こすことがあります。
また、妊娠後期(30~34週)に1000μgの葉酸サプリを飲んでいた場合は飲んでいなかった場合と比べて、小児が3.5歳の時点で喘息になるリスクが1.26倍高かったという報告もあります。
葉酸を過剰摂取しても、神経管閉鎖障害のリスクがなくなるわけではありません。食事ではなくサプリだと、簡単に許容上限量を超えることができてしまいます。
お腹の子が健康に産まれてくるには、まず母体の健康が第一です。赤ちゃんのために、とサプリの飲み過ぎは禁物です。
葉酸が多く含まれる食材
妊活中や妊娠中の付加量分の葉酸はサプリで補いますが、基準の葉酸240μgは基本的に食事から摂ることを想定しています。
そこで、葉酸が多く含まれる食材をご紹介します。
食材名 | 目安量 | 分量(g) | 葉酸(μg) |
ほうれん草 | 2株 | 60 | 126 |
グリーンアスパラガス | 3本 | 60 | 114 |
かぼちゃ | 4㎝角2切れ | 60 | 48 |
白菜 | 中葉1枚 | 80 | 49 |
アボカド | 1/2個 | 100 | 84 |
さつまいも | 中1/2個 | 100 | 49 |
味付のり | 1袋(5枚入り) | 2 | 32 |
納豆 | 1パック | 50 | 60 |
いちご | 中5粒 | 75 | 68 |
マンゴー | 1/2個 | 90 | 76 |
このように、身近な食材にも多くの葉酸が含まれています。
中でも、味付のりや納豆、果物は加熱せずに食べられます。効率良く葉酸を摂取するために、積極的に食事に取り入れたい食材です。
※上記の表には載せていませんが、鶏レバーにも葉酸がたくさん含まれています。しかし、同時にビタミンAもかなり多く含まれています。ビタミンAの摂りすぎは、胎児の奇形を招く可能性があるので、鶏レバーを食べる際は食べ過ぎに注意です!
詳しくはこちらの記事に書いてあるので、興味のある方は読んでみてください!
シリアルで葉酸を摂ろう
基本は食事で、と言われても、1日3食きちんと料理するのは難しいという方もいると思います。
また、たくさん葉酸が必要な妊娠初期は、つわりで食事もままならない方も多いです。
そんなときにオススメなのは、フルーツグラノーラなどのシリアルです。
葉酸だけでなく、鉄分やカルシウム、ビタミン類も豊富で、手軽にバランス良く栄養を補うことができます。
つわり中で牛乳が気持ち悪い、というときはヨーグルトに入れてもいいと思います。
シリアルに含まれる葉酸はモノグルタミン酸型葉酸なので、効率良く葉酸を摂取できます。
朝食をシリアルに置き換えたり、食後のデザートにしたりと、上手に取り入れることで、葉酸基準量のハードルがグッと下がります!
カルビーのフルグラは1食50gあたりの葉酸90μg(牛乳200mlをかけた場合)
同じくカルビーが出している、ドライフルーツの入っていないタイプのグラノーラ、マイグラ。1食50gあたりの葉酸100μg(牛乳を200mlかけた場合)。
日清シスコのシスコーンは、1食40gあたりの葉酸106μg(牛乳200mlをかけた場合)。
他にもたくさんの種類のシリアルがあるので、お好みのシリアルにどのくらいの葉酸が入っているか、チェックしてみて下さい!
参考
・日本二分脊椎症協会 「二分脊椎症について」
http://sba.jpn.com/spinabifida
・厚生労働省生活習慣病予防のための健康情報サイトeヘルスネット
「葉酸とサプリメント-神経管閉鎖障害のリスク低減のための効果」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html
・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
「妊娠中の食事とサプリメントについて」
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail1550.html#2
・国立保健医療科学院 「葉酸を多く含む食品」
https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/yousan/tsuuchi/sankousiryou1/beppyou/beppyou.htm
まとめ
以上、葉酸についてのお話でした。
これから子どもが欲しい、という方には葉酸は欠かせません。
ただ、毎日摂らなければならないので、あまり頑張らずに摂取したいですよね。
サプリを飲んでバランスの良い食事を心がければ、基本的に葉酸が不足することはありません。
しかし、料理がストレスになってしまうと良くありません。しんどいときは、お総菜でほうれん草のおひたしを買えばいいんです。シリアルなど、葉酸の添加された食品で補えばいいんです。
あまり日常で葉酸を意識しすぎず、昨日はロクなもの食べてないから今日は緑のもの食べよー、くらいの心持ちで食事を楽しんでくださいね。
この記事を読んだ方が、少しでも楽に葉酸を摂れるようになってもらえたら嬉しいです。
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